【映像】カメラ・カメアシ 篇
カメラマンとは
実際に撮影をする技術者であり、アーティスト。機材の深い知識と素早い判断力が求められる!
そんなカメラの業界について話してくれたのは、本校の映像クリエイション学科を卒業して、
大阪にあるテレビ局のグループ会社の撮影部に入社して2年目の富田真司さんです。
(この記事は2019年5月12日の体験入学『卒業生座談会』の、映像学科 鯖田先生との対談の抜粋です。)
鯖田:入社して2年。今どんな仕事をしているのですか?
富田:朝日放送直属グループ会社である株式会社カガミの撮影部に勤めています。
主に全国で流れるスポーツニュースを中心に国内に関わらず海外など各地を飛び回って取材してます。
今は入社2年目で撮影ではカメラマンをサポートするVEとして現場に出ています。
鯖田:就職してから、一人前のカメラマンになるまでに、どんな段階があるのですか?
富田:自分が所属してるのは、会社の撮影部なんですけど、その撮影部に入社してすぐは、カメラアシスタント(CA)に
なります。撮影のための三脚など機材を運んだり、バッテリーや消耗品を準備するなど、カメラマンのサポートを
する部署なんですね。
それができるようになったらビデオエンジニア(VE)として、音声や撮影した映像の色管理など、よりカメラマン
と共に映像を作る立場になっていきます。
ここから、そのままプロのVEとして進む人と、カメラマンになる人で分かれますね。
鯖田:VEって、どんな機材を使って仕事をするのですか?
富田:VEは、学校にもあるんですけど、ミキサーと言って、自分が録った音を整音する音声の機材や、いろんなマイクを
使います。また、映像処理の方は「波形モニター」など映像信号の管理機材や、カメラコントロールユニット
(CCU)というものを使って、映像信号をより求めるものにしていきます。
鯖田:なるほど。そうして仕事をして来て、仕事に対する誇りや、ちょっと自慢できるような事って、
そろそろ出てきました?
富田:自分の会社は朝日放送のグループ会社なので、夏の甲子園とかを撮影しているのは全部自分の会社なんです
ね。去年の高校野球は「嵐」がテーマ曲を歌ったのですが、そのPVとか含めて2ヶ月走り続けて、
その打ち上げの時は本当に達成感がありましたね。
鯖田:やはり、それだけ必死に、一生懸命に苦労したからこその感動ですねぇ。
いろんな先輩たちと仕事をしている中で、心に刺さった言葉、アドバイスってあります?長年仕事している人だ
からこと言えるような。
富田:入ってすぐは、重たい荷物を持って走り回ったり、もうホンマに単なる雑用ばかりでしんどかったんですけど、
ある日機材庫で死にそうな顔しながら整備してたら、取締りの方から、「楽しめ」と。
鯖田:このしんどさを?
富田:はい。「楽しめ。今が一番楽しいんやぞ。」というお言葉をもらって。
で、まあ楽しんだ結果、自分の解釈だけで楽しめるんだってわかって。
しんどいけど、「どうやって楽しむか」とか「どうやって楽するか」とかも考えましたし。
たとえば、カメラマンが毎回持つ軽いバッグの中に、重いバッテリーを入れたり…(笑)
そういう楽しみ方を覚えて、今楽しんでやってるんで。
まあ、その言葉がなかったら、辞めてたかもしれませんね(笑)
鯖田:なんか楽しそうやなぁ!いいなそんな楽しみ方!!(爆笑)
パワハラとか、上下関係が厳しいっていうイメージが強い業界ですけど、実際の体感としてはどうですか?
富田:昔はあったみたいですけど、今はもうできないみたいですね。
ただよそを見てて、そういう圧がある時はあります。(笑)
鯖田:なるほど。じゃあ、人間関係だけではなくて、会社のシステム的な「ブラック」な業界イメージもありますが。
例えば残業代は残業した分きちんと出ているのか?
富田:ブラックではないと思いますね。ただ、毎週必ず二日休めているかと言えばそうではなくて。たとえば甲子園での
仕事の場合は試合が固まっているので、その時は休みがなく、忙しくなくなってからまとめて休めたりと変動型
ですが、月のトータルではきちんと休みがあるように調整されています。
だから「毎週の土日の予定を」とかは立てれないのですが、事前に分かっていて申請すればきちんと休めるので、
ブラックではないと思いますよ。
ただ、噂では聞きますけどね。
鯖田:ほぉ!どんなことを?
富田:仕事の下請けの下請けのって、進めば進むほど、例えば20連勤ぐらいしていて残業代も出ないという…。
鯖田:専門学校に入って、こういう業界に進むって決めた時は、ご家族の反対とかありました?
富田:入学する時はやはり心配してましたね。熱意で押し切る感じで。
働き始めてからは、連絡を返していなくて心配されたんですけど、ある日「給与明細の写真送ってくれ」って
LINEがきて、送ったら、「良かった」って返信が来て(笑)
休みのこともシステムを説明したら理解してくれて応援してくれています。
鯖田:やっぱり自分の活躍している、安定して仕事している姿を見せれて、初めて親は安心できるもんですからね。
仕事場ではいろんな大学や専門学校の卒業生たちがいると思うのですが、SHASENの卒業生だったから
良かったなと思うことって何かありますか?
富田:SHASENなら、カメラだけじゃなく、企画から編集まで全て学ぶけど、同期の大学や他の専門学校の人は、
カメラならカメラの事だけ学ぶようなコースが多かったみたいで、本当に「知識」が全然違うんですね。
卒業して、比較する対象がいて、改めて「実際の仕事に即した勉強」をしていたんだなって。
カメラの部署だけじゃなく、演出や、編集の部署との話にも活かされたりして。
鯖田:カメラだけど、編集の部署とかにもきちんと顔を出していますか?
富田:それはもう。鯖田先生に教えてもらって、
唯一覚えているのが、「できるカメラマンは編集室に行く」っていうのなんで(笑)。
鯖田:唯一?!(笑)
富田:2年間学んで来てそれだけ。嘘ですよ!(爆笑)
鯖田:編集室行ったら勉強になるやろ?
富田:それはもう。間近で撮られるのを見ていて、実際どう使われるかを見るのですから。すごく勉強になりますね。
これは行って初めて実感できる事ですね。
鯖田:いやーっ、そんな話が聞けて良かった。
ここで、女子学生からの質問なのですが、「女性だと不利」みたいな事って、仕事や研修でありますか?
富田:ほぼほぼ仕事内容は同じなんですけど、最初から、走り回ったり、重い荷物を持つ現場につかないとか、
髪の毛も明るめに染めてても良いとか…(笑)
ちょっと得してるなーと思いますね。(笑)
鯖田:なるほど!うらやましさがにじみ出てますね。
今日はお忙しい中、貴重なお話を聞かせていただきました。
ありがとうございました。